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お寺にある「これ何!?」 お坊さんの持ち物編


お寺を散歩したり、法事でたまにお寺に行くと「これ何!?」「何に使う物!?」と意味も用途も摩訶不思議な物にあふれている。


 

そんな、お寺にある「これ何!?」を紹介します!!!


 

意外な使い方、意味があるかも・・・

目次

お坊さんが手に持ってる謎の物

法事に行くとお坊さんが手に謎の道具を持っている事がある。
今日はその謎の道具を紹介していきます。
見たことあるけど、どんな目的で使うものなのか詳しく知らないものや、初めて見る物。
いろんな道具を知ればお寺に行くのが少し楽しくなるかも!?

払子(ほっす)

羊の毛、麻などを束ねこれに柄をつけた道具。威儀(身だしなみ)を調える法具として使われます。
もとは、インドにおいて蚊やハエなどに苦しめられていた修行僧に対してブッタが使うことを許した道具。執着の心を起こさないためや、盗まれないために金銀等の高価な物で作ることは禁止されています。現代では仏具屋さんが見栄っ張りな僧侶のために高価な払子を沢山販売しています。是非、自分の菩提寺の住職の持っている払子を見てみましょう(笑)

インドの仏像にも払子をもったものが多くみられ虫を避ける目的ではなく災難を払う法具や生き物を殺さない慈悲の心を表す法具として認識されていることが知られています。
特に仏教においては「不殺生戒」という「無益な殺生をしてはいけない」という決まりがあります。この決まりは今日の私どもからは想像できないほど厳密に守られてきました。蚊を叩き潰すこと避けて生活し、一般庶民に到るまで「蚊取り」といわず「蚊遣り線香」と呼んでいたように殺生を避ける意識が強かったようです。現代のようになんのためらいもなく殺虫剤を多用するのとは大違い!

芴(こつ)

芴

見慣れない漢字が出てきました。これは「コツ」と読みます。僧侶の身だしなみを調える法具です。ちょっと形が異なりますが、教科書によく出てくる聖徳太子が持っているあの棒も「芴」です。

もともとは、官人(現代の官僚)の礼装具で、天子の詔(上司からの命令)を聞いたら忘れないようメモをとるメモ帳であったが、転じて上位者への敬意を表すものになりました。
また、大切な事柄(式次第)などを紙に書き芴の裏に貼って儀式に備えたカンペにも使われていました。

因みに神職が使う「芴」は「シャク」と読みます。「コツ」という読み方が「骨」を連想させることからコツというのを忌み、長さが約一尺だったことから「シャク」と呼ぶようになりました。

如意(にょい)

如意

次は「如意(にょい)」です。なんか変なかたちの法具ですね・・・
皆さん如意と似たような物を見たことがありませんか?ホームセンターとか日用雑貨店とかで。

そう、なんとこれ「孫の手」です。え~お坊さん法要で孫の手持ってるの~、と思ってしまいます。これは中国の戦国時代に痒いところに手が届くことが苦しみ(痒み)を自在に取ることが出来る道具の代表として認識されており、それが生きる上での苦しみを取り除く仏の説法に例えられ「如意(意の如く)」と名付けられました。
それがいつのころか僧侶の威儀(身だしなみ)を調える法具に昇格しました。

竹箆(しっぺい)

竹箆

「しっぺい」と読みます。皆さんは「しっぺがえし」とい言葉を聞いたことがあると思います。これを漢字で書くと「竹箆返し」と書きます。「すぐに仕返しをする事」という意味です。

文字の如く竹でできています。由来は中国の宮廷で罰則の道具として誕生しました。不敬を働いた者をバシバシと誡めたそう・・・  バイオレンス・・・ 痛そう・・・
中国の唐の時代に禅宗で取り入れられ師匠が弟子を激励するのに用いられるようになりました。

製法は、竹を平たく削り、三枚合わせて上下端を藤で巻き黒漆をかけ、一方に紐をつける。長さは1メートルくらいです。

当たり前ですが禅宗では竹箆を使って人を叩くことはありません。お寺の住職が修行僧のリーダーである首座(しゅそ)という役職の僧侶に、修行僧を導く力量を認め与えるときに使います。

錫杖(しゃくじょう)

杖の頭部に鉄や銅で輪を設け、そこにさらに六個の輪を取り付けた法具です。振ると音が鳴るようになっています。歩くときにこれを鳴らして悪獣や害獣に警告し追い払う役割をしたり、玄関先で鳴らし来訪を知らせるために使います。

由来は古く、ブッタが霊鷲山という山に登るとき一緒にいた老僧や病僧へ使うのを勧めたという記録がある。長さは自分の身長が基準であったという。

中啓(ちゅうけい)

これは、見ての通り扇子です。「中啓」の「啓」は開くという意味です。普通の扇子と異なり、骨組みの真ん中位から外側にそらして開いているため「中啓(ちゅうけい)」と呼ばれています。芴や如意と同じで身だしなみを調える法具です。
インドや中国では古来より扇子ではなく団扇が主流であったが、中国の南宋(1127~1279年)の時代に扇子が盛んに用いられるようになりました。日本でも宮中の正装の際は懐中する決まりとなっています。これが、紙の普及と共に現在の紙の扇子として広く浸透しました。
禅宗において中啓が使われるようになったのは静岡県の可睡斎というお寺の住職が徳川家康の前で仏法を説いた時に中啓を構えたことが由来するといいます。
また、茶道の際にも扇子を使う作法が存在します。

数珠(じゅず)

今回紹介する法具の中で一番なじみ深い「数珠」です。念珠・誦珠・咒珠等様々な書き方があります。
由来はバラモン教で使われていたという説があります。真言宗では、陀羅尼というお経を唱える際に数を数えたり、浄土宗では、念仏の数を数えるのに使われます。しかし、禅宗ではお経を読むときはただひたすら読むことに集中し他の音を出すのは好ましくないとされていたことから、本来用いなかった。しかし、時代と共に左手にかけたり、揉み鳴らしたりするようになってしまったそうです。
正泉寺でも法事の際、本堂に入るときカバンから数珠をだして席に着きますが、禅宗では数珠は必須ではありません。

さいごに・・・

さて、今回は払子・芴・如意・竹箆・錫杖・中啓・数珠を紹介しましたが、そのほとんどが身だしなみを調える法具でした。
用途は同じですが、格式に順番があります。
払子>如意>芴>中啓です。これはインド由来か中国由来か日本由来かによって決まっています。芴と中啓は日本由来ですが、時代が芴の方が古い為、格式が高く扱われます。

さて、皆さんが法事や散歩、参拝で見かけるお寺にある謎の物。少しは解決できたでしょうか。今、コロナウイルスによる緊急事態宣言で外に出る機会が少なくお寺に行くことも少ないと思いますが、次お寺に行く機会があったらお寺にある「なにこれ?」なものを見つけてみましょう。

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