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お寺にある「これ何!?」 お袈裟編 


お寺を散歩したり、法事でたまにお寺に行くと「これ何!?」「何に使う物!?」と意味も用途も摩訶不思議な物にあふれている。


そんな、お寺にある「これ何!?」を紹介します!!!


意外な使い方、意味があるかも・・・


目次

お袈裟の話

今日はお袈裟(おけさ)についてのお話です。写真の茶色の布がお袈裟です。
お袈裟とはインドの僧侶が身に着ける衣服のことです。サンスクリット語のカシャーヤの音訳です。
本来、僧侶は出家すると三衣一鉢(さんえいっぱつ)という「お袈裟」と呼ばれる三つの衣服と「鉢」と呼ばれる食事をする器のみを持って修行生活をおくります。
お袈裟は写真にもあるように左肩を隠し右肩を出します。これは、「左側は不浄である」とされているためです。実際タイやミャンマーの僧侶の修行生活でも、大便をして尻の穴を拭くときは左手の指で拭き、食事は右手で食べます。因みにすべて素手です。

では早速、作りや三つのお袈裟の種類とお袈裟の由来や意味について紹介いたします。

まずはじめに…

お袈裟は別名があります。「福田衣」「解脱服」「無相衣」「如来衣」「糞掃衣」など他にも様々な呼び方があります。写真のように小さい布を縫い合わせて作ります。昔、布は高級品でした。財産を持たない出家者は使われなくなった小さい布を少しずつ布施してもらい、それを縫い合わせてお袈裟を作っていました。写真にあるように日本の僧侶はお袈裟だけでなくお袈裟のしたに直綴とよばれる衣、その下に着物、襦袢を着ています。これは、インドでは1年中暑くお袈裟1枚で生活できますが、中国や日本では冬は寒くとてもお袈裟1枚では生活が出来ないためお袈裟の下に中国や日本の衣服が着用されるようになりました。

お袈裟の色

また、色が土色をしている理由はウコン(ターメリック)を染料として色を付けていたことに由来します。別名に「糞掃衣」とあるように僧侶に布施される布は動物や人間の糞を拭いたり、掃除に使われボロボロになった布です。それを洗い染め上げていたので土色をしています。「梵網経」というお経には『人間には欲があり、あの色は良いとかあの色は悪いと、自身の好みで考えてしまう。特に自然の美しい色を見ると求めたい欲が起きる。お袈裟はこのような人間の欲を避けることが目的であり、そのため壊色(えじき)の色に染めること。』とあります。このためお袈裟以外も含め青や褐色、泥色などの地味な色以外は身に着けないという決まりがあります。
また、点浄とう作法があり、新しいお袈裟や衣を少し墨で汚し世俗の価値を破壊します。人間的な欲望から見た衣の価値を失わせ妄執から解放し清浄な衣服とするのです。

大袈裟ってどんな袈裟?

お袈裟の別名に「福田衣」とあります。田んぼに種をまけば、秋に収穫があるように、仏を供養すれば必ず仏道の福報を受けることが出来るという意味から、お袈裟の縫い目が田んぼの畔をかたどっていることと合わせて「福田衣」と呼ばれています。
このお袈裟の畔を細長いのもを数える単位である「条」を使用し、五つの畔があるお袈裟を五条衣、九つの畔があるお袈裟を九条衣と呼びます。
『四分律』という書物には二十五条までのお袈裟が載っていますが、見栄を張りたい公家や出家者が三十三条衣や百八条衣などの大きなお袈裟を身に着け権力の誇示に使うようになり、「大袈裟(おおげさ)」という言葉が生まれました。

大袈裟・・・必要以上に大きいさま、実際より誇張しているさま (出典三省堂 大辞林)

三種類のお袈裟

お袈裟は時と場所に応じて身に着けるべき種類が決まっています。
僧伽梨衣・・・九条衣~二十五条衣
「そうぎゃりえ」と読みます。僧侶の正装であり古来は国王の招待をうけて王宮で説法を行うときや村里で人を集めて説法を行うときに身に着けます。
鬱多羅僧衣・・・七条衣
日常に身に着けるお袈裟です。僧団の中で修行するに身に着けます。現在は坐禅の際や法要の際など曹洞宗ではほとんど七条衣を身に着けます。私も九条衣は持ってすらいません。
安陀衣・・・五条衣
体を動かす作業をするときに身に着けます。諸国を行脚する際や作務をする際など幅広く活用されています。
現在、曹洞宗や臨済宗では絡子(らくす)という名前で則天武后が改良した五条衣が使用されています。

さいごに・・・

仏教がその時代の国家によって統制されていた歴史から現在、お袈裟は位を表す道具や権力の誇示に用いられることも少なくない。しかし、時代に即応し変遷せざるを得なかったが、お釈迦様や道元禅師の説いた「お袈裟」の教えは不変です。正しいお袈裟の知識を持って身につけなければ、ただの僧侶の制服になってしまします。
皆様にも生前に授戒を行い仏弟子となっていただいたき五条衣を身に着け、お袈裟の教えに基づき一緒に仏道を歩んでいただきたいと切に願います。
永平寺・總持寺の両本山で行われている授戒会へ正泉寺からの推薦で参加できます。

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