正泉寺の植物 その②『クルクマ(ウコン)』
ショウガ科ウコン属の多年草。熱帯アジアやインド原産で、草丈40~50センチほどになり、夏から秋にかけて大きな花序を直立に出す。花序は多数の淡い緑色の包葉が積み重なり、頂部の包葉は白色で、先端は薄紅色をしていて美しい。これが花のように見えるが、その下の黄色が本当の花。
熱帯地方の植物なので、10度を超えると球根ごと腐ってしまう。正泉寺では冬の間は温室で管理し3月頃から35℃に設定し2ヶ月かけて発芽させる。
因みに、掘り起こすときはショウガの香りがする!!
各家庭の「おふくろの味」の定番になっているカレーライス。このカレーの黄色い色は、主にターメリックという香辛料の色で、ウコンの根茎から作ります。ウコンは、カレー粉だけでなく、たくあんやその他食材の色付けにも使われています。
目次
- ○ 漢方としてのウコン
- ○ 染物としてのクルクマ
- ・染料成分と染め方
漢方としてのウコン
沖縄では、ウコンは昔から肝臓の妙薬として知られ、根茎の粉末を発酵、焙煎(ばいせん)して飲む「うっちん茶(ウコン茶)」は、体に良い飲み物として親しまれてきた。
中国では莪朮(ガジュツ)という名前の漢方として古来より親しまれてきた。炎症性疾患に効果があり、近年は歯周病治療に効果があることが知られるようになった。
日本には享保年間に伝来し、屋久島や沖縄などの暖かい地方で栽培されている。漢方に使用するウコンの品種はクルクマに比べて少し寒さに弱い。
染物としてのクルクマ
古くから薬用として使われていたウコンだが、次第に染料としても用いられるようになり、平安時代に使われ始め、江戸時代には、黄色に染める染料として普及し、その色は「鬱金(うこん)色」と呼ばれていた。また、ウコンで下染めした後に、紅花で染め重ねる「紅鬱金」という色もある。
ウコンは木綿に良く染まり、殺菌・防虫効果に優れていることから、ウコンで染めた「鬱金木綿」は、産着や肌着、手拭いとして、また、掛け軸や茶道具、反物などを包む布として広く使われてきた。今でも陶器や着物を黄色い布で包んでいるのを目にするが、これは、鬱金木綿の名残でしょう。
お袈裟の染料にも使われるウコン。クルクミンという金色に染まる染料成分を持っている。
写真のようにタイやベトナム、チベットなどの僧侶のお袈裟は赤茶色や黄色になっている。日本のようにキラキラと金やプラチナの刺繍を入れたお袈裟はそもそも、執着を離れる衣という観点から邪道。そんなお袈裟はウンコで染めた方がまだ良い。
染料成分と染め方
ウコンはクルクミン(C21H20O6)の 他 に、誘導体のp-hydroxycinnamoyl-feruloy-methane(C20H18O5)やp,p’ -dihydroxydicinnamoyl-methane (C19H16O4) などの黄色色素を合わせて約0.3%含 有している。「ウコン」の色素クルクミンは布を鮮明な黄橙色に染めるが、水に難溶のため 水とアルコールの混合溶媒を用いた染色が適している。クルクミンは直接染料のような細長構造をもつが、性質は疎水 性の分散染料と類似し難溶性である。染色には新根茎を粉末にして煮染する方 法もあるが、ベンゾール、エーテルなどの有機溶媒に溶解性を示すため、1価のアルコールで抽出後、水との混合溶媒で染色 する方法が適している。
ウコンには球根が2つある。根を出す球根とその下に沢山のミルクタンクと呼ばれる栄養根が付いている。根をすり潰してアルコールと水を混ぜ煮詰める事で色素が溶出する。そこに布を入れ煮詰めると黄金色や赤褐色に染まる。前述のように水に難溶である。
つまり、しっかり染めた布はめったなことでは色落ちしない!!
カレーが服に着いたらなかなか落ちないよ!!