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令和5年春彼岸会 正泉寺寄席

令和5年3月21日にお彼岸供養を厳修いたしました。

天候にも恵まれ110名の方々にご参列いただきました。

目次

~法話 兎の角~

本日はお彼岸の法要へご参列いただきありがとうございます。
今日のお話は兎に生えている角についてです。
我々の日常生活の中に多くの仏教由来の言葉があります。誇張表現することを身の丈に合わない大きなお袈裟つけたお坊さんを皮肉って大袈裟と言います。花粉の季節になりましたが、インドでくしゃみは寿命が縮むという噂から長生きを表す「くさんめ」という言葉を掛ける風習がありました。それが「くさんめ・・くさんめ・・くしゃんめ・・・くしゃみ」になりました。また最近流行っているSNSで使用するアバターはお経の原文であるパーリ語の分身を意味するアバターから来ています。このように周りに多く溢れている仏教由来の言葉。
その中の一つに、この言葉があります。私の横と柱に張られている紙をご覧ください。兎角と書き「とかく」、または「とにかく」「ともかく」「とやかく」、と読みます。
現代では、うまくいくかどうかはさておき、ともかくやってみようというように、他の事柄はおいておくという意味として使われます。

兎の角はどこにあるのか

今年は兎年です。年賀状やカレンダーで兎を見る機会も多いと思います。しかし、兎に角は生えていませんね。
この兎に角は、我々の心の苦しみは妄想であるという事を説いたお経に出てくる言葉です。
さて皆さん、想像してみてください。角の生えた兎を。どうでしょうか。ユニコーンのように一本の角が生えた兎を想像したでしょうか。または、鹿のように枝分かれした大きな角の生えた兎を想像したでしょうか。我々は兎に角が生えているようにありもしない事を想像することが出来ます。それは過去の事であったり未来の事。それを現在目の前に在るかのように妄想してしまう。先日、妻がこんな愚痴を言っていました。橋本駅から自転車で帰っている時、横断歩道で一時停止をしたそうです。その時、妻の後ろを自転車で走っていた若い男性に「どっちにいきたいんだよ」と怒鳴られたそうです。その時はとっさの事でしたので「すいません」と謝ったそうです。しかし、しばらく家まで、また自転車を漕いでいると、なぜ私が怒鳴られなければいけないんだと怒りがふつふつと湧いてきたそうです。その怒りイライラは家に帰ってきてからも続きました。私が帰宅すると早速私に愚痴を言います。今日こんなことがあったんだよ。と。そして自分で話しているうちにまた怒鳴られた事を鮮明に思い出してさらにイライラしていました。例えば、その妄想が仕事で怒られた事であったら落ち込みます。大切な人が亡くなった時の記憶であったら悲しい気持ちになります。家を出る時、火の元の確認と鍵をしっかりかけたかなと考えると泥棒に入られる妄想、火事になってしまう妄想をして恐れや不安になってしまう。
我々は今、目の前に起きていない事でも頭の中でストーリーを作り出して怒り不安悲しみ劣等感を感じ苦しみを受けてしまいます。

ネコの過去と未来

お寺に住み着いている猫がいます。見かけた方もいるかと思います。名前はナスです。境内地を我が物顔で闊歩しているナス。冬になると暖かいところを探して日向ぼっこしています。そのナスをジーっと見ていると、頭の中で様々な事を考えてしまします。ナスは過去の事を考えているのか、未来の事を考えているのか。例えば1か月前に食べたチュール美味しかったな。とか昨日はお参りの人が多かったな。とかそんな事を考えているようには見えません。未来のことはどうでしょうか。明日のご飯何かな。あと冬は何日で終わるのかな。そんなことを考えているようにも見えません。日が昇ったら日向を追いかけ、ご飯の匂いがしたら玄関までご飯をもらいに来て、いつも撫でてくれる人が来たら「にゃー」と鳴く。とても過去のこと未来の事を考えているようには見えません。
過去の事、未来の事をくよくよ考えない、ナスは今という瞬間を生きています。その点我々はどうでしょうか。我々は過去の記憶と未来への備えに捉われて生きているように思えます。しかしそれは我々が頭の中で作り出した過去と未来の物語でしかありません。
今、確かに存在するのは今この瞬間だけです。

もし、不安や悲しみ、怒り劣等感と心が落ち着かず苦しみを受けている時、カレンダーや年賀状の兎を見てください。その兎に角は生えていません。今私に苦しみを与えているのはそのありもしない兎の角です。

今日はこの兎の角という言葉をお持ち帰りいただきたいと思います。

正泉寺寄席

今年も正泉寺寄席を開催いたしました。
笑点 特大号レギュラーメンバーの鈴々舎馬るこ様 みー馬様、そしてホンキートンク様にお越しいただきました。

60名の方々にご観覧いただきました。

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