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令和4年 春彼岸会と正泉寺寄席

桜の花が咲き迫ってまいりました。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

令和4年3月20日に正泉寺本堂にて春の彼岸会を厳修いたしました。
護持会役員の皆様の御協力のもと、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行いました。また、コロナ禍ではございましたが130名近くの方に参列いただきました。

目次

彼岸会法話 ~同事 同じ目線に立とう~

前回に引き続きお彼岸に因んだお話をさせていただきます。
彼岸とは彼の岸と書きます。
彼の岸があるという事は此処の岸もあるという事です。
今から2500年前、お悟りを開かれたお釈迦様はインドを渡り歩き教えを広めていきました。
その布教の拠点となっているブッタガヤとサルナートという町の間に大きな川が流れていました。
河の名前はガンジス川
この川は世界最大の河で幅は最大で20キロ狭いところでも4キロもあるそうです。
正泉寺から町田まで20キロらしいのでその大きさがうかがえます。
お釈迦様は5月から8月の雨季の時期を外し丁度お彼岸の時期に河を渡り移動をしていたそうです
お釈迦様はたとえ話の名人でして、その川を渡ることを人間の人生に例えました。
川を渡ろうとすると流れは速く、雨季に氾濫したガンジス川に流された水死体が流れ、その大きさから波もある。
まるで煩悩や人間関係、自分自身の生や死、病気に悩み苦しみ翻弄される人生のようである。

そして、その荒ぶる川を渡るうえで重要な四つの教えを示されました。

本日お唱えいたしました修証義第4章にかかれております
一つには布施 二つには愛語 三つには利行 四つには同事
前回は利行についてお話をさせていただきました。本日は最後四つ目の同事についてお話をさせていただきます。


「同事」とは同じ事と書きます。これはざっくりゆうと「同じ目線に立とう」ということです。「同じ目線にたつ」これは意外と難しいものです。よく小さいころ「自分がされて嫌なことは相手にもしてはいけない。自分がしてほしいことを相手にしなさい。」と教えられました。しかし、同事とはもう一歩踏み込んで考えなくてはいけません。自分がされて嫌だと思わなくても相手からしたら苦痛かもしれない。自分がして欲しい事は相手にとってはして欲しくない事かもしれません。なぜなら、目の前にいる方は年齢も生い立ちも、もしかしたら性別も国籍も違うかもしれない。この前会った時と体調も気分も違うかもしれないから。

先日、橋本にあるショッピングモールに行きました。アリオ橋本。大きなショッピングモールです。吹き抜けの開放感のある作りに様々なお店が入っております。中に入り、ぶらぶらとお店を見ていると、首も座っていない赤ちゃんを抱っこして五歳くらいの男の子を連れたお母さんがいました。男の子は駄々をこねて座り込み、お母さんは鬼の形相。ものすごい剣幕で男の子を叱りほらっ!いくよっ!って腕を引っ張るも男の子はギャンギャン泣いて動こうとしない。それこそモール中に響きわたるすごい泣き声。お母さんの怒りも頂点。「いいかげんにして!!」と男の子の頬をビンタ!バッチーン!!さすがに周りの買い物客からも注目の的となり、「子供がかわいそー」「虐待か~」などと周りからひそひそ声が聞こえてきました。お母さんどうするのかな~と思っていると、一人の年配の女性がお母さんと男の子に近寄っていきました。「まあまあ、お母さんたいへんやね~」と声をかけました。てっきり「子供になんてことするの!やめなさい」と止めるのかと思いきやお母さんにかけた言葉は「お母さんもホントにたいへんやね~。赤ちゃん生まれてからちゃんと休めてないでしょ。そりゃあイライラもするわね~」
今度は男の子に向かって「ぼくもよく頑張った。頑張ったね~。よく泣いた。偉い偉い。きっと赤ちゃん生まれてからお兄ちゃんだから我慢しなさいってずっと頑張ったのよねー。あー、偉い偉い!お母さんもぼくも、ふたりとも偉い偉い!」と言いお母さんと男の子の頭をなでて立ち去っていきました。
お母さんは男の子を抱きしめて男の子以上に泣き始めました。

この母親と男の子に声をかけた女性の行動こそが同事の行い「同じ目線にたつ」ということです。傍から見ると「男の子がかわいそう」であったり「母親もたいへんだな~」と感想を持つだけで終わってしまうでしょう。もちろんその現場にいた私自身もそうです。しかし、母親の目線にたつと生まれたばかりの赤ちゃんを抱え出産の疲労が残る中男の子を連れて家族のために買い物に来ている愛情深い母親であることが想像できます。また、男の子の目線にたつと弟か妹さんが生まれ環境が変わり今まで以上に我慢することが増えたのかもしれません。
「同じ目線にたつ」お釈迦様が示された同事の行いを是非意識してみてください。
以前、お彼岸でお話させていただいた。布施「真心を持って施しをしよう」愛語「愛情の言葉をかけよう」利行「与える人になろう」という実践はこの同事「同じ目線にたつ」ことを意識することにより、さらに良い仏道の実践になります。

本日は「同事」の行い「同じ目線にたつ」。これをお土産にお持ち帰りいただき法話としたいと思います。

正泉寺寄席

昨年はコロナウイルス感染症対策のため中止しておりました正泉寺寄席が復活いたしました!!
今年も真打・鈴々舎馬るこ様にお越しいただきました。前座に鈴々舎みー馬さん、紙切り師に林家楽一さんにお越しいただきました。
お陰様で80名近い方々にご来観いただきました。
たびたび沸き起こる拍手と紙切りを楽しむ子供たちと大盛況に催しとなりました事をご協力いただきました、護持会役員の皆様・(株)永田屋様・檀信徒の皆様へ厚く御礼申し上げます

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