行持・コラム

HOME//行持・コラム//令和4年 ~涅槃会~

ブログ

令和4年 ~涅槃会~

2月15日、正泉寺本堂にて涅槃会を修行いたしました。



涅槃(えんはんえ)とは、お釈迦様がお亡くなりになった日に修行される法要です。


2月15日は世界中の寺院で涅槃会を修行いたします。


写真に写っている涅槃像は、涅槃仏とタイ古式マッサージで有名なタイ王宮寺院、ワット・ポーです。

ラーマ3世によって造立された涅槃仏は、全長46m、高さ15m。その大きさもさることながら、特に興味深いのが仏像の足の裏。そこには、仏教の世界観を現した108の図が、美しい螺鈿(らでん)細工(貝殻を研磨して模様にはめ込んでいく装飾方法)によって描かれています。世界一美しい涅槃像ともいわれています。

 

~法話~


本日は涅槃会にご参列いただきありがとうございます。

 

本日のお話は精進についてです。

本日お唱えしたお経に書かれていました。今日お唱えしたお経はお釈迦様が亡くなるときに弟子たちへ「これだけは心にとめて生きていきなさい」と示された八個の教え八大人覚という内容です。その4つ目が「精進」です。「精進」について訳して読んでみます。

もし、精進すれば何事も難しいことはなくなる。精進の力はぽたぽたと垂れてくる雨水がいつか石に穴を開けるように力強い。しかし、木をすり合わせて火おこしをしようとしても中途半端にやめてしまうと火はいつまでたってもおこらない。

と書かれています。

 

さて、皆さん精進と聞くとまっさきに「精進料理」が思い浮かぶと思います。肉や魚を使わず野菜のみで作る料理。しかし、本来の意味は違います。精進とは米が青く進むと書かれています。昔は、精米技術が乏しくお米に砂利やもみ殻ゴミが沢山混じっていました。そのお米を茣蓙に広げて沢山の時間をかけて目で砂利やごみを探し取り除いていくとお米が青く光り輝くという意味から米が青く進むと書くそうです。このように一見途方もない作業のようだけれどもしっかりと続けていけば素晴らしい成果がでることを精進と言います。

似たような言葉で「継続は力なり」があります。どんなことでも続けてこそ身につき、力ともなるので、一日怠れば、それまでの何十日分の努力が水の泡となって消えてしまうことも多いのです。

 

しかし、継続は力なりといっても継続することは難しいイメージがありますよね。ダイエット・筋トレ・英会話・読書・ジョギング・受験資格勉強・通信講座・日記など

試したけど続かない、やろうと思ったけど一回も手を付けてない。そんな経験皆さんもあると思います。

今日の精進の話はこの継続するための方法をお釈迦様の教えから学んでいこうというものです。

お釈迦様は継続力をつけるために苦痛を感じないくらいの小さな目標を実践することを説きました。

 

目標は小さく

よく大きな夢や目標を持ちなさいと言われます。しかし、お釈迦様は逆のことを言っています。目標は小さく。なぜなのか?

お釈迦様は最初は意気込んでやろうとしたことが続かないのは、「早く成果が出てほしい」と欲するから、つまり欲望が強すぎるからだと説かれています。



 

これは学習曲線と呼ばれるグラフです。

これは学習や訓練によって費やした時間に対してどのくらいの成果が得られるかを表したグラフです。

人は成果を求めて何かを始めるわけですが、語学や資格の勉強にしろ仕事にしろ、本に書かれたことを実践するにしろ、すぐに成果が得られるものではありません。学習曲線を見ると分かるように実践し始めたころからしばらくはどんどん理想と現実のギャップが大きくなっていきます。まだ得られていないものを「早く早く」と欲するのは苦しいため、理想と現実のギャップでかえって嫌になってしまうのです。

かの有名なトーマス・エジソンは電球を発明するために一日一個光らない電球を開発することを目標にしました。電気がなにかもよく分かっていない時代に光る電球を作ろうと目標を立てたら、電球を発明するまでに心が折れていたでしょう。しかし、エジソンの一日の目標は光らない電球を一日一個作ること。光らなくていいなら簡単に達成できそうですね。

エジソンは2万個の光らない電球を作り、有名な日本の竹をフィラメントにした光る電球を一個作ることに成功しました。

 

我々は目標を設定した時や目標がしっかりと具体的に見えているときはモチベーションも上がりやる気マックスになります。

しかし目標に向かっている途中に理想と現実のギャップがどんどん大きくなり、「早くああなりたい、けれどもまだできていない。早く早く」と、欲望によって鞭打たれているような気分になります。そのためにつらくなって投げ出したくなってしまうのです。

なので我々が設定すべき目標は一日一個光らない電球を作ることです。

小さな目標を達成することによって理想と現実のギャップをゼロにします。

我々は、目標を設定するとき欲望のままに高く設定しすぎてしまいます。30分筋トレをしようと設定するから1回もできない。1時間も勉強すると考えるから1分も勉強が出来ない。腹筋を継続しようと思ったら目標は腹筋一回に設定する。資格を取ろうと勉強しようと思ったら1問問題を見ることを目標にする。ジョギングしようと思ったらまず家から一歩外へ出ることを目標にする。

すると欲望に縛られていた目標に心が折れることもなく、小さな目標を今日も達成できたぞと満足して眠りにつくことができます。そしてそれがいつしか目標ではなく習慣になっていきます。

 

 

苦痛にならないくらいの小さな目標はいつしか生活の一部になっていきます。

 

今日はお釈迦様が示された「精進」小さな目標を一回行ってみる。をお持ち帰りいただき法話としたいと思います。

 
SHARE
シェアする

ブログ一覧