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令和3年 春彼岸会

3月20日(土)お彼岸の法要を行いました。朝方は雨が降っていましたが、法要中には晴れ間も見られました。緊急事態宣言下ではありましたが、100名近くの方にご参列いただきました。ご参列いただきありがとうございました。



法話


前回に引き続きお彼岸に因んだお話をさせていただきます

彼岸とは彼の岸と書きます

彼の岸があるという事は此処の岸もあるという事です

今から2500年前、お悟りを開かれたお釈迦様はインドを渡り歩き教えを広めていきました

その布教の拠点となっているブッタガヤとサルナートという町の間に大きな川が流れていました

河の名前はガンジス川

この川は世界最大の河で幅は最大で20キロ狭いところでも4キロもあるそうです

正泉寺から町田まで14キロらしいのでその大きさがうかがえます

お釈迦様は5月から8月の雨季の時期を外し丁度お彼岸の時期に河を渡り移動をしていたそうです

お釈迦様はたとえ話の名人でして、その川を見て悟りを開く人間の人生に例えました

川の流れは速く、雨季に氾濫したガンジス川に流された水死体が流れ、その大きさから波もある

その川はまるで煩悩や人間関係、自分自身の生や死、病気に悩み苦しむ人間の人生のようである

お釈迦様は河を渡るうえで大きな三つの障害があるとお示しになり三途の川と呼ばれるようになりました

 

よく三途の川は死後の世界にある川と思われがちですがモデルは現存するガンジス川

そして死後の世界ではなくこの現世における人生の苦しみのことを三途の川といいます

 

そして、その三途の川を渡るうえで重要な教えを仏法僧といいます

ほとけ 法律の法 僧侶の僧

前回は仏法僧の法の中の菩薩についてお話をさせていただきました

 

その菩薩と呼ばれる仏様が示されている彼の岸へ渡る4つの教えがあります

本日お唱えいたしました修証義第4章にかかれております

一つには布施 二つには愛語 三つには利行 四つには同事

本日は二つ目の愛語についてお話をさせていただきます

 

そのまま読むと愛情の言葉ですが、意外と

言葉というものは難しいものです。時には相手にうまく伝わらずトラブルになることも

この前もコンビニでおばあさんが「肉まんをください」「はい、おいくつですか?」「80になります」と9600円請求されたそうです。またあるご家庭では母親が出先から家へ電話をし娘が出たそうです「お父さんいる?」「いらない」と

冗談はさておき我々人間は言葉で考え言葉でそれを表現する生き物です。よい言葉を沢山持っていれば、その考えは自ずから良いものになるでしょうし、悪い言葉ばかりを持っていたら、考えが自ずから悪いものになっていくでしょう。

 

ですから、日常生活で使う言葉というものがいかに大事であるか。道元禅師様は人と相対したらまず慈しみの心を起こして、優しく労りのある言葉をかけ、決して暴言を吐くようなことをしてはならないと示されています。なにも特別な言葉をかけなさいと仰られているわけではありません。病気の人には「お大事に」と久しぶりに会った方には「ご機嫌いかがですか」と声をかけるように、我々は相手を気遣う言葉を普段から使っています。

道元禅師様は愛語の説明の中で「ひごろしられずみえざる愛語も現前するなり」とお示しになられています。思いやりの心を持っていれば日頃思いがけない時に愛語が現れてくるという意味です。愛語は特別な時に特別な言葉を考えて相手に伝えるのではなく、常日頃から自分自身が持っている相手への思いやりをそのまま素直に言葉に出せばそれだけで素晴らしい愛情の言葉愛語になります。

 

相手のことを思って心から発する言葉 愛語

我々が発する言葉一つ一つを愛語に変えていきましょう。

本日はこの「愛語」をお土産にお持ち帰りいただきお彼岸の法話とさせていただきます。

 
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