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秋彼岸会 ~布施の功徳~

9月20日に正泉寺本堂にて秋彼岸会を厳修致しました。


コロナウイルス感染拡大防止対策を護持会役員の皆さま主導のもと講じさせていただき、無事に行うことができました。




 

~法話~


前回に引き続きお彼岸に因んだお話をさせていただきます


彼岸とは彼の岸と書きます


彼の岸があるという事は此処の岸もあるという事です


今から2500年前、お悟りを開かれたお釈迦様はインドを渡り歩き教えを広めていきました


その布教の拠点となっているブッタガヤとサルナートという町の間に大きな川が流れていました


河の名前はガンジス川


この川は世界最大の河で幅は最大で20キロ狭いところでも4キロもあるそうです


正泉寺から町田まで14キロらしいのでその大きさがうかがえます


お釈迦様は5月から8月の雨季の時期を外し丁度お彼岸の時期に河を渡り移動をしていたそうです


お釈迦様はたとえ話の名人でして、その川を見て悟りを開く人間の人生に例えました


川の流れは速く、雨季に氾濫したガンジス川に流された水死体が流れ、その大きさから波もある


その川はまるで煩悩や人間関係、自分自身の生や死、病気に悩み苦しむ人間の人生のようである


お釈迦様は河を渡るうえで大きな三つの障害があるとお示しになり三途の川と呼ばれるようになりました



よく三途の川は死後の世界にある川と思われがちですがモデルは現存するガンジス川


そして死後の世界ではなくこの現世における人生の苦しみのことを三途の川といいます



そして、その三途の川を渡るうえで重要な教えを仏法僧といいます


前回は仏法僧の法の中の菩薩についてお話をさせていただきました



その菩薩と呼ばれる仏様が示されている彼の岸へ渡る4つの教えがあります


本日お唱えいたしました修証義第4章にかかれております


一つには布施二つには愛語 三つには利行 四つには同事


本日は一つ目布施についてお話をさせていただきます


お布施と聞くとお寺への供養や僧侶へのお礼と思われがちですが本来の意味は執着を離れ施すことを言います。曹洞宗を開かれた道元禅師は修証義の中で「布施というは貪らざるなり」と示されています。


この貪(字音読みで「とん」)には実は対になる言葉があります。


それは貧乏の貧の字、貧しいという字です 音読みで「ひん」です


貪という漢字は今に貝がらの貝を書きますが昔は今の下に口という字が付き含むという字の下に貝の字がありました、貝はお金財産を表していますからお金を含むという字が貪りという字の由来です。これは自分の!これも自分の!人には渡さない自分の物だからと貪り身勝手なわがままを行い何かに執着する心です。


こんどは対となる貧しいという漢字は分けるに貝と書きます。全ての物は自分の物ではなく分け隔てなくという由来があります。世の中には私には他に施す物やお金がないという人がいます。修証義に一句一偈の法も布施すべしとあるように、布施とは物やお金だけではありません。人ににこやかに接する、やさしい言葉をかける、愛情のこもった心で接するこれらすべて布施です。また、船を置き橋を渡すも布施の檀度なり、治生産業固より布施に非ざることなし


と書かれているように社会に貢献している仕事をしていることも布施であると示されています。


 

また実は布施するものがないと自分が思っても布施とは貪らない心なので、その布施される物の質や価値は問題がありません。布施という漢字は布に施すと書きます。これはお釈迦様のあるエピソードが由来です。あるときブッタが町で教えを説いていた時の事ボロボロの服を着て杖をついたお婆さんが「大変すばらしい教えを授かり生きる希望が湧きました。しかし、ご覧のとおり、貧乏でお釈迦様に物を差し上げる物がありません。申し訳ございません」と涙を流しました。そしてボロボロの黄ばんだ布で涙をぬぐいました。そのときお釈迦様はそれでしたらその涙をぬぐった布をいただけませんかと仰いました。


とんでもございません。この布は赤ん坊のおしめに使っていて糞で汚れ色も糞で黄色くなっています。こんな布をお渡ししてしまったら失礼になります。とお婆さんは断りますお釈迦様は「お婆さんの真心の涙が詰まったその布こそが最高の功徳であり最上の施しです」といいお婆さんから布を施していただき、自分の身に着けている袈裟に縫い付けました。


その名残として今私が身に着けているお袈裟の四隅にお婆さんの布施してくださった布が縫い付けてあります。


このお婆さんのように布施とは財産を施すのではなく貪らず執着しない真心の施しであり、真心があればそれだけで布施の功徳になります。


本日は菩薩様、道元禅師様が示された布施の心をお土産にお持ち帰りいただきたいと思います。


余談ではございますが、お袈裟が土色をしているのはお婆さんの布施してくださった黄ばんだ布に合わせお袈裟全てをウコンで染めたのが由来になります。


お袈裟の色でもあるウコンも境内地に植わっております。この時期鐘撞き堂の横に赤い華を咲かせていますのでよろしければご覧になってください。


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